もう14年も前の話ですが、ある40代前半の男性会員さんから、『同じ独身寮の先輩(40代半ば)は「今更結婚して、自分以外の人の為にお金を稼ぎたくないから結婚はしない」と言っています。他の先輩も似たような考えですね』とお聞きして驚いたことを思い出しました。
要するに、『稼いだお金は、自分の為だけに自由に使いたい』ということなのでしょうけど・・・。それを聞いた時はとても驚いて「え~っ・・そんな風に考えている人がいるってことね」としか言葉が出てきませんでした。 当時そのように考えていた40代半ばの方は、今はもう60歳位になられているでしょうけど・・やはり独身のままなのでしょうか・・・
生涯未婚率(「45~49歳」と「50~54歳」の未婚率の平均から、「50歳時」の未婚率(結婚したことがない人の割合)を算出したもの)は高くなる一方です。
2020年の統計で生涯未婚率は男性は何と、28.5%、女性は17.8%です。男性の場合、4人に一人が生涯独身になっていますが、近い将来には3人に一人が生涯独身になる可能性があるのです。 女性の場合においても近い将来に5人に一人が独身となる可能性があるというのは、既に少子化に直結する問題になっています。
結婚を選ばないという自由
結婚願望がある方たちを除いて、【結婚の意思がない】方の割合が過去最高値になったというニュースを目にして、その理由を統計からみてみました。
【積極的に結婚をしたいと思わない理由について】
20~39歳の独身男女で比較すると、女性の場合、5割前後となっている項目(理由)は
・「結婚に縛られたくない、自由でいたいから」
・「結婚するほど好きな人に巡り会っていないから」
男性の場合も同じ項目が上位に入っていました。
また、40~60歳の独身となると、男女間で理由に差があり、女性のほうが高い理由は
・「仕事・家事・育児・介護を背負うことになるから」
・「姓が変わるのが嫌・面倒だから」
男性の方が高い理由は
・「結婚生活を送る経済力がない・仕事が不安定だから」
(令和4年版男女共同白書より)
ここで、【結婚の意思がない】理由で気になったのは「結婚に縛られたくない・自由でいたいから」という理由です。
大方考えられる「結婚による不自由」とは何でしょうか? 時間・お金・付き合い・意思(思想)などでしょうか? とりわけ、時間という方が多いのかもしれませんが、考えようによっては限られた時間を家族と共有する楽しみがありますし、自由な時間は自分で作り出すという工夫をすることで、家事などの効率を高められるというメリットにもなります。
家族との話し合いで、お互いに協力して“それぞれの自由な時間”を作っていくようにしていくのが建設的なのではないでしょうか? 「そんなこと話せないし、出来ない」という方は、家庭だけに限らず、仕事や学校・友人関係においても「自由」を求めていけるのか疑問に思います。
先日、ある40代前半の男性会員さんから、『最近友人から『おまえは独身でいいよなぁ・・羨ましい』と言われたのですが、僕から言わせたら、あんたのほうこそ家族がいて賑やかに食卓を囲めるのだから羨ましいよ、と思うんですけどね」とお聞きしました。
どうやらその友人の方は、「独身者は自由に時間・お金が使えるし家族に対して責任を持たなくていい」と感じているようだったとのこと。でも・・もしかしたら、独身の彼を慰める?ために、あえて「羨ましい」と言われたのかもしれませんね。ご本人に聞かないと真実は分かりません。
生活様式の多様化などで、何かと「自由」という言葉が飛び交いますが、その自由にも選択肢があり、自分の意思で選んだ「自由」の先にまた選択肢があり、その先々に「不自由」な選択肢もあるということを想像することがあるでしょうか・・・
もちろん「結婚に縛られず、自由でいたい」と思うことは間違いではありませんし、それこそ自由な考えです。
ただ、各々が少しだけ「自分にとっての自由」について考えていく必要はあるのではないでしょうか。